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ずっと続いている気がする。 途中で途絶えている気がする。 この小さな部屋から見えた長方形の空は淡い青色に染まって嬉しそうだ。 陰鬱な気分でそれを見る自分の横顔も、あんな綺麗な青に染まれたらどんなに心が浮き立つだろう。 羨ましくて忌々しくてカーテンを閉めた。途端に風が入らなくなって同室にいた彼は苛立ったように外へ出た。 夏である。 比較的田舎に存在するこの町は夏であってもそれなりに涼しい。 だがやはり所詮それなりな訳であって、真夏の真昼間に窓を締め切れば地獄だ。 暑がりな彼はそれを嫌がり早々に退散した。 もう一人、夏の間だけ営業に来ている奴がいたが、彼は朝から浜にある店に出ている。 ちゃらんぽらんな性格だが真面目に経営しているようだ。それが売り上げに響いているかどうかは知らない。 乾いた風が閉めたカーテンから割り入ってきた。根性がある。 ちらり見えた空はやはり青くて、僕は少し、飛び込んでみたくなった。 町の隅にある教会にいる司祭は何も聞かない。 彼にも家族はあっただろうに、一人でこんな世界の外れみたいなところにいて良いのだろうか。 仕事熱心なのは尊敬に値するが、彼の場合はここへ来て職務放棄しているように見える。 悩み相談はするし、挙式の際の祭司役もやるのだが、頼まれごと以外の勤めはまったくしない。 そんなので神父と呼べるのか甚だ疑わしいが、本人がそう言っているのだからそうなのだろう。 「カーターさん」 「はい?」 カーターは祭壇に立って、古めかしく分厚い聖書から目を離さずに、ぞんざいな返事を返す。 いつものことなので気にしない。 「どうして空は青いのですか」 「空が青いのではありません。空を見る私たちが身勝手にそれを青だと認識しているのです」 「本当は何色なのですか」 「さあ」 ここで自称神父はくすくすと笑った。 「見れば解りますよ」 あまりといえばあまりな返答に僕は絶句して目を瞑った。 まぁ最初から真当な答えなど求めてはいなかったから、暇人の午後にはもってこいだ。 僕は質問を重ねた。本気になんかしていない、僕だって彼だって誰だって。 「どうして人は生まれてきたのですか」 「生物の本能です」 「どうして人は死ぬのですか」 「自然の摂理です」 「どうして―――」 くらくらする。貧血気味だ。 「どうして空は青いのですか」 「借金の返済に困っているからです」 パンに葡萄酒に羊の血、黒いマントを頭からすっぽり被って血の気の無い口元に笑みを吐く。 そうして祈りを捧げた。「空から金が…いや金の生る木が…うーん…金、金、金…」 平和だ。そして俗物だ。 教会から宿屋へと続く歩道を歩く。ふと顔を上げる。 空は七色に輝いて、総じて赤かった。 end. |